最終列車の車内は、私が予想していたほどの大混雑ではなく、
座席が埋まる程度の混み具合でした。
代官山を発車した列車は、本当に最後の走行となる上り線を
そろりそろりと進んでいきます。車窓から山手線の線路を
見下ろすのも、都営バスの渋谷営業所を眺めるのも、
並木橋駅の跡を通過するのもこれでお終いです。

特別な放送はなく、列車は渋谷駅に到着し、ドアを開きました。
最終列車は両側のドアが同時に開いたのが、唯一の相違点でしょうか。
(通常は降車ホーム側のみ開きます)


渋谷に着き、すべての乗客を降ろした最終列車。まもなく駅としての役割を終えます。

代官山駅付近での工事の都合もあり、最終列車は
足早に渋谷駅を発車していきました。
ホーム上はまさにフラッシュの嵐です。

「主役」が去った後は、名残を惜しむ乗客、そして
警備員がホームを慌ただしく行き交います。
ホームの先端から正面口に向けて警備員が移動し、
乗客を出口へ誘導します。


まるでデモ隊と警察の衝突の図のようですが、
大きな混乱はなく、無事最後を締めくくりました。


乗客が一人もいなくなった渋谷駅のホームを、
多くの人々がいつまでも盛んに歩道橋から撮影していました。

こうして東横線の渋谷駅地上ホームは歴史に幕を閉じ、
85年間の長い勤めを終えました。

…そしてはじまる、東横線の新たな時代。
次は地下の渋谷駅を出る東横線一番列車に乗車します。

→次回へ続く