前回に引き続き、TOMIXの「JR 215系近郊電車(2次車)セット」をご紹介ー。

TOMIX 215系

せっかくなので今回はマイクロエース製品と比較しつつ紹介したいと思います。

ちなみにマイクロエース製品の215系は、2002年~2011年にかけて3度に渡り生産されましたが、私自身は全てのロットを所有しております(http://tamaden-club.sakura.ne.jp/index.php?itemid=664&catid=14)ので、今回は同社の最終生産ロットとなりました、品番【A0022】【A0023】のセットと比較します。

・・・余談ながらこの品番【A0022】【A0023】のセット、2019年にいったん再生産の発表が出たものの、製造に使う金型の劣化等の事情により、残念ながら中止となった経緯があります。なので今回のTOMIXからの製品化は、215系の模型が欲しかった人にとって、まさに吉報だったといえるでしょう。

※既にマイクロエース製品を大量に持っている私ですら飛びついたので(笑)

TOMIX 215系

さて本題に戻りまして、先頭車の前面と側面を中心に両社製品を並べてみました。

まず前面の比較(※左がTOMIX製品、右側がマイクロエース製品)ですが、明らかにTOMIX製品の方が全体的にコンパクト、かつシャープなモールドに仕上がっていることがわかります。

ただこちらは正直なところ無理もない話でして、マイクロエース製品の215系は2002年(※1)、TOMIX製品の215系は今年=2022年にそれぞれ登場ということで、実に20年もの期間の差がありますので、20年前と現在の技術力を比べてしまうのは酷というもの。

そもそも製品化したメーカーが違うというのはもちろんありますが、個人的には20年もの期間が経てば、同じ車両の模型でもこれだけ変わってくるんだなぁと思いました。いずれにせよプラ完成品で215系を製品化してくれた両社に感謝したいですね。


(※1)今回比較している品番【A2022】【A2023】のセットは2011年に発売されたものですが、ボディーについては基本的に2002年の初回ロットから変化がないと思われるので2002年としています。



続いて先頭車の側面を比べて見ます(※上がTOMIX製品、下がマイクロエース製品)と、こちらはマイクロエース製品の方が機械室の各種点検蓋をはじめ、モールドが強めで目立つ印象です。

一方TOMIX製品は全体的にあっさりとした雰囲気になっていますが、マイクロエース製品と比べると、全体的なリアリティーで言いますと(※20年という時間の差はありますが)ワンランク上な仕上がりに見えます。

ただTOMIX製品はJRマークこそ印刷済ですが、号車番号といった標記類や車番などは別添のインレタで転写しなければいけません(※画像に写っているのは私の方で作業をした後の状態になります。)ので、この点については全て印刷済となっているマイクロエース製品の方がユーザーに優しい?仕様になっていると思います。



そして両社製品の違いで、個人的には最も大きなポイントとなったのが車体の長さ。
といいますのは実車の215系はグリーン車が20.5m、それ以外の車両が20mになっているのですが、TOMIX製品(※上から3枚目の画像)ではこの車体長さの違いをキッチリと再現しています。

一方、マイクロエース製品は極力仕様を共通化したかったためか、中間車はすべて同じ長さとなっておりまして、ここが地味ながらも大きな違いとなっています。・・・この辺は製造メーカーの考え方の違いとかもあるとは思いますが、車体長さの点については今回キッチリ再現したTOMIX製品を称えたいと思います。


TOMIX 215系

続いて屋根回り、内装、動力ユニットといった車体以外の部分。

まず屋根回りですが屋根板、クーラーともに色合いが大きく違いますね。(※上がTOMIX製品、下がマイクロエース製品。)個人的にはTOMIX製品の方が落ち着いた色合いでしっくりくる印象です。


続いて車内のディティール(左側がTOMIX製品、右側がマイクロエース製品。)ですが、TOMIXは普通車・グリーン車ともにグレー色ベースの落ち着いた仕上がりになっているの対し、マイクロエース製品は普通車・グリーン車の座席カラーを基調とした色合いになっているほか、座席のヘッドレストにまで白色で色差しされていますので、この辺りはさすがといったところでしょうか。

座席のモールド自体は一長一短といった感じですが、個人的に内装についてはマイクロエース製品の方が好みな感じです。


最後に動力ユニット(※上がTOMIX製品、下がマイクロエース製品。)ですが、構造自体はいかにも両社の動力ユニットらしい構造になっています。

ただ面白いのがTOMIX製品は先頭車(クモハ215-0)に動力ユニットが組み込まれているのに対し、マイクロエース製品は中間車(モハ214-0)に動力ユニットが組み込まれている点です。

TOMIX製品は1Fが機械室になっている先頭車に動力車を組み込んでいますので、外から見た感じでは大変リアルなのですが、10両編成の端に動力がついていますので機関車+客車or貨物列車のように牽引?時はともかくとして、推進運転の時にちょっと不安が残る感じですが、TOMIX製品では400系やE3系といった、いわゆるミニ新幹線車両も先頭車が動力車になっているケースが多々見られますので、無理な運転をしなければ特に問題はないのでしょう。

一方、マイクロエース製品は動力ユニットを中間車に持ってきた点はいいのですが、実車であれば客室のある階下部分の再現については、当然ながら完全に目を瞑った(=無視した)状態になっています。

また動力車ということで「モハ」を指定したのはいいのですが、編成の位置的にはほぼ編成の端(※先頭車であるクモハ215の隣)になりますので、走行条件的にはあまりTOMIXと大差はないですね。ただこちらも無理な運転をしなければ特に問題はないので、気にならないと言えばあまり気になりません。



ということで簡単にではありますが、先輩格にあたるマイクロエース製品との比較をしつつ、TOMIXの215系をさらっと紹介いたしました。

まさかマイクロエース以外から215系が発売、異なるメーカーの製品同士で比較ができようとは夢にも思いませんでしたが、2000年代初頭と2022年現在という、時代の変化的な観点でも、個人的には興味深く色々と見ることができました。

残念ながら実車の方は2021年に引退、全車解体されてしまいましたが、模型の世界ではまだまだ現役ということで、マイクロエース製品、今回のTOMIX製品共に大事に扱っていきたいと思います。


ーおしまいー